エクセルで端数処理(四捨五入、切り上げ、切り捨て)をする方法

エクセルで端数処理をしたい、と一口に言っても、
いろいろなパターンがあります。

ですから、
まず最初にすべきことは、

エクセルの関数とか機能を調べるよりも先に、

「自分が、どういう処理をしたいのか?」
「相手から、どういう処理を要求されているのか?」
を明確にしないといけません。

端数処理をする際に考えないといけないこと

例えば、次のような内容に応じて、
端数処理の実現方法が変わってきます。

  • 単に、端数が見えなくなればいいだけなのか?
  • 計算の最後だけで端数処理をすればいいのか?
    あるいは、計算過程の途中段階で端数処理をしないといけないのか?
  • あなたの会社で主に使っている端数処理関数は何か?
  • マイナスの数の端数処理を考慮する必要があるのか?
  • 整数になりさえすれば端数の処理方法は適当でいいのか、あるいは、厳格な端数処理が必要か?
  • 単純に、各項目ごとに端数処理をすればいいのか?
    あるいは、全体合計が一致するように端数を割り振らないといけないのか?

大雑把に、目的別に使用すべき関数を表で表すと、
次のようなイメージになります。

  見た目だけ
端数処理
実際の数値を端数処理
round系 floor,ceiling系 その他
切り上げ × roundup ceiling.math ×
四捨五入 (書式設定) round mround ×
切捨て × rounddown floor.math int

このページでは、
いろいろな考慮すべきポイントのうちで、
基本的な部分について、書いていこうと思います。

1.画面上、端数を見えないようにしたい

エクセルでは、
実際にセルに入力されている「値」と、
画面に表示させる「値」の見た目を変えることができます。

例えば、
「0.5」という数字が入力されている場合、

セルの書式設定で、
「少数点以下の桁数を0」に設定すると、
画面の見た目上は、四捨五入されて
「1」と表示されます。

hasuu_1

このように、
見た目だけ、端数処理できればいいのであれば、
関数を使う必要はなく、
「セルの書式設定」だけで対応ができます。

hasuu_2

ただし、
セルの書式設定だと、四捨五入しかできません

どうしても、切り上げ、または、切り捨てでないとダメ、という場合には、
関数を使って処理をしていくしかありません。

2.計算の途中で端数処理が必要か?最後に端数処理が必要か?

処理によっては、
計算途中、あるいは、計算の最後で端数処理が必要な場合があります。

その場合、
計算途中で端数処理をするべきかどうかは、
「業務」に応じて変わりますので、
まずは、あなたの「業務」の内容を確認する必要があります。
さて、実際に、
計算途中で端数処理をする・しないで、
計算結果が、どう変わるのかについては、
下の例を見てみてください。

計算途中での端数処理比較
hasuu_3

※コメントに表示されている数・式が、
そのセルに実際に入力されている数・式です。

セルの書式設定で端数処理をすると、「元の値」を使って計算される

A4セル、A5セルは、
セルの中身は「0.5」なのですが、
表示上だけ端数処理をして「1」と見せているものです。

A6セルは、
A4セル+A5セルを計算しているのですが、
エクセルでは、
書式設定とは関係なく、
元々の数字を見て計算をしますので、
計算結果は1になるのです

端数処理関数を使うと、端数処理後の金額で計算される

一方で、
A9セル、A10セルでは、
round関数を使って、端数処理をしています。

A11セルでは、
A9セル+A10セルを計算しているのですが、
端数処理の数字を使って計算をするため、
答えは「2」になっています。

このように、
端数処理を計算途中にするかしないかで、
計算結果が変わってくる
ので、
どの段階で端数処理をするか、注意が必要です。

例えば、
次のような、
「仕訳を起票する」ための金額計算をする場合には、
計算過程の中で端数処理をしないでも、
計算の最後で端数処理をしておけば十分なケースが多いだろうと思います。

  • 部門共通費を各部門に配賦する
  • 商品購入時の手数料を各商品に配賦する
  • 建物の新築、内装工事費等を固定資産に配賦する

3.あなたの会社で主に使っている端数処理関数はなにか?

会社でエクセルシートを作る場合には、
あなたの周りで、
端数処理のためにどの関数を使っているのか?

にも注意をしておく必要があります。

端数処理関数は、
大きく分けると、次の3つのグループに分かれます。

floor、ceiling系

floor、ceiling
(あるいは、floor.math、ceiling.math)

round系

round、roundup、rounddown

その他

int、trunc

特に、
「floor、ceiling系」と、「round系」は、

動作が似ているにもかかわらず、
2つ目の引数に入れるべき内容が異なっていることから、
混在させると、処理誤りの元となります。

これらの混在は、できる限り避けたほうがいいでしょう。

自分で、
どの関数を使うか決められる場合には、
エクセル初心者であれば、
関数の挙動がわかりやすいround系の関数がおすすめです。

4.マイナスの数の端数処理は、挙動に注意

マイナスの数の端数処理をしないといけない場合、
挙動に注意しないといけません。

ざっくりと書くと、

ceiling.math、floor.math

古いバージョンのエクセルを使っている場合、
マイナスの数値を入れるとエラーが出て計算できません。

int、ceiling.math、floor.math

正の数と、負の数で、
端数処理結果に違和感を感じるかもしれません。

=int(3.4) → 3
=int(-3.4) → -4

=ceiling( 3.4 , 1) → 4
=ceiling(-3.4 , 1) → -3

=floor( 3.4 , 1) → 3
=floor(-3.4 , 1) → -4

マイナスの数の処理についても、
round系の関数をつかっておけば、
直感に反する処理はされないと思います。

そういう意味でも、
エクセルに慣れていない人は、
とりあえず、round系関数を使うのが無難です。

整数になれば、端数処理なんてどうでもいい、という場合

整数になりさえすればいい、
というような甘い(?)要件であれば、
int関数を使うのも「あり」です。

引数も1つで済みますし、
手打ちする場合でも、文字数が少ないので楽です。

実際、私は、ほとんどint関数しか使っていません。

ということで、
全てのポイントは説明しきれませんでしたが、
これくらいのことに気をつけておけば、
端数処理の「基本」は、大丈夫だろうと思います。

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