エクセルの作業効率を上げるには絞込みが大切
エクセルは自由度が高いソフトなので、あるひとつのことをやりたい場合に、さまざまな選択肢があります。
むしろ、選択肢がありすぎるため、慣れていないと「どの機能を使えばいいかわからない」状況に陥りがちです。
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選択肢はたくさんあるが「筋の良い」処理は数えるほどしかない
でも、実際には、場面・場面ごとに、選択肢としてありえる手段は、片手の指で数えるほどしかないケースがほとんどです。
当たり前ですが、筋の悪い方法に時間をさくのは時間のムダです。
いかに効率よく「筋のよい処理方法」に絞り込めるかが腕の見せ所です。
例えば、将棋や囲碁の強い人は、まず、筋の悪い手を一瞬で見抜き、検討の対象からはずして(いくつかの)筋の良さそうな手に絞り込み、その中から指すべき一手を選択するそうです。
もちろん、難しい局面では直感で絞り込むのは難しいのでしょうが、簡単な局面であれば、ほぼ一瞬で選択肢を絞り込めてしまいます。
エクセルでの関数・機能の選択もイメージは一緒です。
エクセルを使いこなしている人ほど、時間をかけず直感的に、ありえない選択肢を除外して選択肢を絞り込んでいます。
時間をかけずに選択肢を絞り込む方法
選択肢を絞り込む方法としては、最終的には「直感」としか言えないものもあるのですが、少し考えれば絞り込めるパターンもあります。
目的を達成するために使うべき関数が明確な場合
一番、悩まないで絞り込めるのは、「これをやるためにはこの機能を使うしかない」という場合です。
例えば、関数を使って、オートフィルタをかけた状態で「表示されている数値だけ」を集計をしたい場合。
「表示されている数値」だけを集計できる関数は、2つしかありません。
ひとつはsubtotal関数。もうひとつはExcel2010から追加されたaggregate関数です。
つまり、どこかのタイミングでこれらの関数を使うしかないということです。
すると、その前段階では、これらの2つの関数を使えるように形を整えておく必要があるので、自然と表の形や入力すべき数値が決まってきます。
このように、どこか一カ所で使う関数が決まると、その前(あるいは後ろ)の表の形も決まってきて、グッと選択肢が狭まります。
選択肢が狭くなれば、計算式が思い浮かびやすくなります。
同じ計算式を使いまわそうとすると、相対参照・絶対参照を使わざるを得ない
同じようなパターンとして「相対参照・絶対参照」もあります。
1つの計算式をコピーして使いたいという場合。
参照先のセルの変化のさせ方は、次の2つしか選択肢がありません。
- コピーするにつれて、参照先セルを同じ方向にずらしていくか
- 常に、同じセルを参照させるか
計算式を使っている限り、これ以外のずらし方は、原理的にできないのです。
だから、計算式を使って、処理を自動化したいのであれば、「相対参照・絶対参照」でセルをずらす(あるいは固定する)ことで表現できる処理しか書けないのです。
ですから、慣れた人が計算式を使う場合には、「相対参照・絶対参照」で表現できる形で計算式を書けるように、表を作り・計算式を組み立てていくわけです。
関数を使って処理を書くより、vbaで処理を書いたほうが簡単という人がいますが、その理由のひとつが、計算式を使う場合には「相対参照・絶対参照」で表現できる処理しか書けないところだと思います。この縛りは、複雑な処理をしたい場合は、かなりキツいです。
明らかに効率的な処理がある場合
例えば、エクセルを使って、大量のデータから必要なデータを抽出して集計したいという場合。
効率よくデータを集計しようとすると、選択肢は次の2つくらいしかありません。
- ピボットテーブル
- sumif関数
本当に、この2つしかないのか?と言われると、確かに断言はしきれないところはあります。
でも、私の感覚としては、素早く集計をしたければ、ほとんどの場合「この2つの機能のどちらかを使えばどうにかなる」のは間違いありません。
そして、この2つの機能を使おうとすると、その前段階では、これらの2つの関数を使えるように形を整えておく必要があるので、先ほどと同様、自然と表の形や入力すべき数値が決まってきます。
実は、この2つの機能を使う場合、元の表の形は、かなりの縛りがかかります。
「四角い表を作っておかないと」この2つの機能は使えないのです。
だから、私は、集計作業を効率化しようとする場合には、迷わず、四角い表を作ります。
そして、その表に基づいて、
- ピボットテーブル
- sumif関数(+相対参照・絶対参照の組み合わせ)
の機能を使って集計をしていきます。
まとめ
どんなパターンでも構わないのですが「これをするには、この方法しかありえない」という直感が働くようになると、エクセルの作業効率は上がります。
当然、直感の源は知識なので、勉強しないと身につかないわけですが。
絞り込もうという意識をしないで勉強していると、こういう直感が働くようにはならないかもしれません。
もし、今まで「選択肢を絞り込む」という意識がなかったのであれば、ぜひ、今後は意識するようにしてみてください。